税金の手引き

不動産売買には、日頃馴染みのない様々な税金がかかります。不動産売買自体、一生にそう何回も行うことではないので、なかなかイメージがわかないものも多いと思いますが、税金の目的や税額算出式、主な特例などをご紹介致しますので、どうぞご参考になさって下さい。

(1)【買主様向け】不動産購入時にかかる税金

・印紙税(国税)

不動産の取引において交わされる書類のうち、課税対象となるものに貼る収入印紙代です。税額は契約書の記載金額によって決まります。同じ契約書を複数作成する場合は、1通ごとに印紙が必要です。

契約書の記載金額 印紙税の額
1万円未満 非課税
10万円未満 200円
10万円超〜50万円以下 400円
50万円超〜100万円以下 1,000円
100万円超〜500万円以下 2,000円
500万円超〜1,000万円以下 10,000円
1,000万円超〜5,000万円以下 15,000円
5,000万円超〜1億円以下 45,000円
1億円超〜5億円以下 80,000円

・不動産取得税(地方税)

不動産を売買・贈与によって取得した場合に課せられる税金です。不動産取得後6ヶ月〜1年半位の間に、都道府県より送付される「納税通知書」にある期日が納付期限になります。

【不動産取得税の計算式】

不動産取得価格(固定資産税評価額)×税率(標準税率:4%)=不動産取得税額
※土地及び住宅の税率は、平成24年3月31日までは3%に軽減されます。

なお、一定の要件を満たす住宅用不動産は、税額が軽減される特例措置があります。
軽減の要件は、不動産が新築・中古のいずれかによっても異なります。

新築住宅 特例税額
【所有権保存登記】
(法務局の認定価格) × 0.15% = 登録免許税額
軽減要件
  • 自己居住用の住宅であること
  • 新築または取得後1年以内に登記されたものあること
  • 床面積50m2以上であること
中古住宅 特例税額
【所有権移転登記】
(固定資産税評価額) × 0.3%= 登録免許税額
軽減要件
  • 自己居住用の住宅であること
  • 取得後1年以内に登記されたものあること
  • マンション等耐火建築物は築25年以内、木造等耐火建築物以外は築20年以内のものであること
    この年数を超えている場合は、新耐震基準に適合していることについて証明されたものであること
  • 床面積50m2以上であること
長期優良住宅 特例税額
【所有権保存登記】
(法務局の認定価格) × 0.15% = 登録免許税額
特例税額
【所有権移転登記】
(固定資産税評価額) × 0.3%= 登録免許税額
土地 特例税額
【所有権移転登記】
平成23年3月31日まで (固定資産税評価額)×1.0%= 登録免許税額
平成24年3月31日まで ×1.3%= 登録免許税額
平成25年3月31日まで ×1.5%= 登録免許税額

・登録免許税(国税)

不動産の取得には、所有権保存登記や移転登記等を要します。この登記をする際にかかる税金が登録免許税です。税率は、不動産によって異なります。詳しくは法務局、税務署にご確認下さい。

【登録免許税の計算式】
不動産取得価格(固定資産税評価額)×税率(標準税率:4%)=登録免許税額

・消費税(国税)

売買金額のうち、建物部分にも消費税が課税されます。この他、建築工事請負金額や、金融機関、司法書士などへ支払う各種報酬についても同様に消費税が課税されます。また、不動産取引においては、消費税が非課税となるものも少なくありません。ご確認下さい。

不動産取引における消費税の課税・非課税
課税取引 非課税取引
  • 建物の購入
  • 建築請負代金
  • 仲介手数料
  • 住宅ローン手数料
  • 事務所、店舗家賃
  • 土地の購入
  • 住宅ローンの返済利息
  • 保証料
  • 火災
  • 生命保険・地代、家賃(住宅用)
  • 保証金、敷金

(2)【売主様向け】不動産売却時にかかる税金

・印紙税(国税)

不動産の取引において交わされる書類のうち、課税対象となるものに貼る収入印紙代です。税額は契約書の記載金額によって決まります。同じ契約書を複数作成する場合は、1通ごとに印紙が必要です。

契約書の記載金額 印紙税の額
1万円未満 非課税
10万円未満 200円
10万円超〜50万円以下 400円
50万円超〜100万円以下 1,000円
100万円超〜500万円以下 2,000円
500万円超〜1,000万円以下 10,000円
1,000万円超〜5,000万円以下 15,000円
5,000万円超〜1億円以下 45,000円
1億円超〜5億円以下 80,000円

・譲渡所得税(国税)

不動産を売却して生じた所得を譲渡所得といいます。譲渡所得には、その他の所得と分離して所得税と住民税の両方が課税されます。なお、譲渡所得がマイナスの場合には課税されることはありません。税率は、不動産の保有期間によって異なります。

【譲渡所得税の計算式】
譲渡価格−(購入価格+諸費用)=譲渡所得金額
譲渡所得金額×税率=譲渡所得税額

マイホームを売却した場合、譲渡所得から3,000万円が控除されます。マイホームの定義は下記 1〜4のいずれかに当てはまる場合と定められており、この要件にあてはまる場合、この特別控除が適用となります。保有及び居住期間についての定めはありません。

マイホーム売却時の3,000万円特別控除について

1.現在主な住居としているとき

2.住居としなくなった日から3年を経過する日の属する年の年末までに売却するとき
3.家屋を取壊した場合、2の範囲内で、取壊した日より1年以内にその敷地の売却契約が成立しているとき
4.転勤等で単身赴任の場合、配偶者等が居住している家屋を売却したとき
【(3,000万円特別控除適用】譲渡所得税の計算式】
譲渡価格−(購入価格+諸費用)=譲渡所得金額
 (譲渡所得金額−3,000万円)×税率=3,000万円特別控除適用の譲渡所得税額

(3)【保有者様向け】不動産保有にかかる税金

固定資産税と都市計画税は、毎年1月1日現在の所有者に課税されます。住宅および住宅用地については、それぞれ課税軽減措置があり、特に納税者がこれらの申請をする必要はなく、各自治体がその手続きを行います。

・固定資産税(地方税)

不動産保有者は、毎年固定資産税を納付する義務があります。

【固定資産税の計算式】
固定資産税評価額(課税標準)×1.4%=固定資産税額
※固定資産税の評価額について、土地が30万円、建物が20万円未満の場合、非課税となります

住宅および住宅用地の課税軽減措置について
新築住宅の建物 新築建物は120m2(課税床面積)までの部分について、固定資産税が軽減されます。
  • 3階建以上で、耐火構造・準耐火構造の新築住宅
    ※平成22年3月31日までに新築された場合、新築後5年間は固定資産税が半額となります。
  • 上記以外の一般新築住宅
    ※平成22年3月31日までに新築された場合、新築後3年間は固定資産税が半額となります。
  • 専用住宅、店舗併用住宅(但し店舗併用の場合は1/2以上が居住用であること)
  • 居住部分の課税床面積が50m2以上280m2以下の新築住宅
住宅用の土地 建物の課税床面積の10倍を上限として、下記の課税軽減措置が適用されます。
  • 小規模住宅用地(200m2以下の部分) →課税標準×1/6
  • 一般住宅用地(200m2超の部分) →課税標準×1/3

・都市計画税(地方税)

市街化区域内に不動産を保有している場合は、毎年都市計画税も納付します。市街化区域とは、都市計画区域のうちのひとつで、現在市街地を形成しているか、もしくは将来的に市街化を図るべきとされている区域を指します。

【都市計画税の計算式】
固定資産税評価額(課税標準)×0.3%=都市計画税額

住宅および住宅用地の課税軽減措置について
新築住宅の建物 原則として、軽減の特例はありません。
但し、市区町村によって特別に軽減の特例を設けている場合があります。
住宅用の土地
  • 小規模住宅用地(200m2以下の部分) →課税標準×1/3
  • 一般住宅用地(200m2超の部分) →課税標準×2/3

・所得税(国税)および住民税(地方税)

アパート経営など、保有している不動産によって収入(不動産所得)を得ている場合にも、その所得に対して所得税や住民税が課税されます。

【不動産所得の計算式】
総収入額−必要経費=不動産所得額
※必要経費には固定資産税、都市計画税のほか、管理費、減価償却費などがあります。
※不動産所得以外の所得がある場合、その合算金額に対し課税されます。

具体的な税額の算出や各種特例の認否などは、必ず最寄りの税務署又は自治体等でご確認下さい。

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